富山市医師会について

平成31年度事業計画

平成31年度富山市医師会事業計画

 医療と介護の一体改革の中で、地域医療構想と地域包括ケアシステムの構築はその両輪をなすものであるが、財政的観点から効率化を求め社会保障関係費の伸びを5,000億円以下に抑えることが示されている。その為の処方箋も示されているが、相変わらず財政諮問会議の民間議員の提言に基づくものであり診療報酬体系や薬価制度の在り方のみならず、個別の具体的施策にも踏み込んでいることに違和感を禁じ得ない。
 その一方で医師の働き方改革も喫緊の課題である。医師の勤務実態をもとに暫定的に医師の時間外労働を年1,900~2,000時間まで認める案が示されている。また、開業医の労働実態調査でも過重労働が明らかとなっている。このことは、取りも直さず現在の地域医療は勤務医・開業医を問わず医師の自己犠牲の上に成り立っていることを示すものである。対策としてタスクシフティング、タスクシェアリング、医師の偏在への対応、公的病院の集約化等が挙げられているが、問題となっている診療科では慢性的な医師不足が根底にあり、これらを解決するには財源の確保が欠かせないことを広く社会に訴えていく必要がある。
 他方では、核家族化や共働き世帯の増加とともに不要不急な時間外受診が増加していることも救急医療体制の維持を難しくしていると考えられ、行政には住民に対して積極的に受療行動の是正を喚起する必要があることを提言していく。
 医師の働き方改革の猶予期間を過ぎる2024年4月に向けて、富山市医師会が担う初期救急と二次輪番病院との救急医療体制の在り方の検討について、早い段階から着手する必要があると考え、その議論を進めていく。
 また、富山市医師会が従来から進めてきた医療・介護連携に関して「地域完結型医療」を目指す上で今まで以上に病診連携を進めるとともに、歯科医師会・薬剤師会とも連携して地域住民の健康を支え、訪問看護ステーション、介護事業所、地域包括支援センター、行政とともに在宅医療・介護を推進していく。

1.医療制度改革への監視と提言

 我が国ではすべての国民がいつでも、どこでも平等に医療機関にかかり、医療技術の進歩を享受できる国民皆保険およびフリーアクセスという仕組みを採っている。その結果、国民の健康寿命を世界トップレベルにまで押し上げ、WHOでも医療の質、平等性から我が国の医療制度は世界一位と目されるまでになっている。国民の健康を支え、国民が安心して仕事をし、生活を送るための基盤として何としてもその仕組みを堅持していかなければならないと考える。
 しかしながら、我が国の国民医療費は、過去10年で平均2.5%のペースで増加し、現在42.2兆円の規模となっている。増加要因は後期高齢者の増加と医療の高度化による。とりわけ老人医療費の増加は年1.2%であり、医療費の約1/3を占め、医療費増加の最大の要因となっている。医療費は、国民所得や雇用者報酬の伸びを大きく上回り、医療保険財政は厳しい状況となっている。一方、「経済・財政再生計画」では、財政健全化を達成するために社会保障関係費の伸びを5,000億円以下に抑えることが求められ、高齢化による増加分等々に収めることを目指すとされている。
 消費税は、2019年10月に税率が10%に変更され増税となる見込みである。社会保険診療に係わる消費税は政策的な配慮に基づき非課税である一方、診療を行うための薬剤や設備には消費税を支払うという医療機関に不合理な税負担をもたらしている。10月に増税となるが、不合理かつ不透明な制度は根本的に見直されていない。問題の解決には日本医師会が提唱する控除対象外消費税が発生しない仕組みに改めることが必要である。
 また、企業では法人税減税により企業収益は上がり、空前の内部留保を生み、株主への配当も増えている反面、非正規雇用の増加で賃金は伸び悩み、企業の社会保障負担は減ったままである。企業収益の増加が設備投資や個人所得の増加をもたらし、個人消費の増大に繋がるという好循環とはかけ離れた実態となっている。
 このような状況の中で国は更なる負担を個人に求め、逆にサービスを制限し、医療分野に市場原理を持ち込むことで公的給付の更なる削減を目指している。これは公的負担が個人負担に振り替えられるだけでなく、受けられる医療の格差が生ずると考えられる。患者申出療養等の実質的混合診療の導入や医療保険分野の拡大により、医療の産業化とそれに伴うビジネスチャンスが生まれ公的支出が抑制される可能性はあるが、国民の安全・安心・平等の医療・介護・福祉につながるとは限らない。
 国民皆保険を堅持していくためにも、我々医療側から生涯保健事業の体系化による健康寿命の延伸など、過不足のない医療が提供できるよう適切な医療提供体制を提言し、時代に即した改革を進めていく必要がある。

2.保健、福祉との連携強化

 長寿社会にふさわしい高齢者保健福祉をいかに構築するかという重要な課題に富山市では取り組んでいる。また、併せて介護保険事業についても円滑な実施を目指している。
 このうち、特に中・重度な要介護者の暮らしを維持・継続するために「小規模多機能型居宅介護」をはじめとする様々なサービスや施設の整備がされつつあるが、それぞれの目的や用途に応じてどのサービスを受けるかなど要介護者やその家族には判らないことが多くある。
 また、医師においても介護保険制度をすべて熟知している方々はまだ多くない。今後、富山市医師会としては介護保険制度における主治医意見書作成や介護認定審査会委員など、医師の役割を再認識するための研修も実施したい。さらには地域包括支援センターや居宅介護支援事業所など多職種の方々との連携をこれまで以上に密にするための相互交流を進めたい。

3.在宅医療と地域包括ケアシステムの推進

 地域包括ケアシステムの構築とは、可能な限り住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりである。それには国の在宅医療連携拠点事業、在宅医療推進事業を基盤とした在宅医療体制構築、在宅医療推進、在宅医療介護連携推進、医療・介護関係者の研修、地域住民への啓発などが必要となる。
 富山市医師会はこれらを踏まえ、平成30年度は、①在宅看取り連携のための医療・介護連携研修会の開催、②地域包括ケアシステム・在宅医療委員会の開催、③平成28年度からのエリア会議の継続、④「まちぐるみで住民が地域で暮らし続ける事を支える とやま」をテーマとして市民公開講座、シンポジウムなどを内容とした東海北陸在宅医療推進フォーラムinとやまを開催した。これらのテーマに基づく事業の継続が、在宅医療の推進と地域包括ケアシステムの構築に繋がる。そのため在宅医療と地域包括ケアシステムの推進の事業計画は下記のとおりとする。
①在宅医療の質向上のための医療職を対象とした研修会の開催
②医療・介護の情報共有化、普及を目指した事業の展開
 平成30年度に設置した、「医療・介護情報共有化普及・推進協議会」を通じて富山市と協議をしながらIT推進とこれに関連した事業を展開
③エリア会議による医療と介護のさらなる信頼関係の構築
④在宅医療・介護サービスの普及・啓発のための市民公開講座の開催
⑤在宅医療の環境整備および在宅医療を実施している会員への支援
 富山市医師会としては、これらの事業を通じて在宅医療を行う上での環境整備とそれに関わる多職種の人材づくり、在宅医療連携拠点整備を行っていく。

4.危機管理意識の向上

 平成30年も各地に大寒波、火山の噴火、猛暑、豪雨、地震などの災害による被害がもたらされ、富山市においても常に備えを怠ってはいけないものと思われる。
 平成30年度の射水市で開催された富山県総合防災訓練では、富山県、射水市、高岡市、氷見市の主催で地震、火災などを想定した訓練が行われ、富山市医師会も日本医師会災害医療チーム(JMAT)の派遣という形で参加協力した。その他、富山市総合防災訓練、広域災害救急医療情報システム(EMIS)研修会、災害医療コーディネート研修会などにも参加した。研修会では実際に富山での災害の発生を想定し、①各医療機関との通信手段や連絡網の構築の必要性、②各地から訪れる医療チームやボランティアなどの統制・指揮、被災した医療機関の支援、行政や各種団体との連携などをコーディネートする能力の重要性や心構えなどを学習した。平成31年度は講演会や「大規模災害医療救護活動マニュアル」の改訂などを通じて、これらを広く会員にも広報・周知していきたい。
 富山市医師会では、定期的に危機管理委員会(下部組織として業務改善推進委員会、災害対策委員会、接遇向上委員会、全体衛生委員会)を開催し、医師会組織(事務局・健康管理センター臨床検査部・同健診部・同業務部・急患センター・看護専門学校の各部門)のリスクマネジメントおよび医療安全対策の検討・改善に努めている。平成31年度も富山市医師会交流発表会、医療安全管理セミナー、各種委員会などの開催を通して、医師会全職員の危機管理意識の向上を図っていきたい。

5.行政との連携による乳幼児・学校保健活動の充実および小児領域の在宅医療整備への取り組み

 乳幼児の健康予防医学の充実の基本である予防接種の接種率の向上および現在任意で行っている予防接種の定期接種化に向けた啓発と、これに関わる接種後の疾病構造の変化や関連する市中感染症の流行状況などを行政と連携し検証することで、小児の健康維持推進に努めたい。学校においては、運動器検診への取り組み支援やすこやか検診によるこれまでの評価・結果およびすこやか相談事業の見直しへの協力など、これまで以上に充実した検診業務になるよう図る。加えて特にすこやか検診後のフォローアップ体制については、新しいガイドラインを基準にした手引きの作成を行ったため、その後の再評価などを行う。
 ポストNICUや重症心身障害児などの小児医療的ケア・小児在宅医療問題については、富山市医師会小児医療的ケア・在宅医療問題検討会と乳幼児保健委員会が協力できる範囲内でこの問題を取り上げ、行政や富山医療圏の関連医療機関や地域医療連携医との協力を図るとともに、これに関わる多職種連携のための啓発研修会を企画し、富山県医師会とも協力した活動を継続し、富山市から県内全域へ連携できる体制を推進したい。乳幼児期から医療的ケアを必要とする子どもたちが、安心して成長・発達・生活していける医療・福祉・教育連携のため富山市医師会として具体的にできることを整理して解決できるようにしたい。
 3歳児健診における屈折機器を用いての他覚的な屈折検査の実施は、平成30年度は「視力検査調査研究事業について」として5月1日から7月13日までに3歳児健診を受けた690人に対し、富山市に試験的事業として1年間行っていただいた。その結果、以前までのランドルト環を用いての自覚的な視力検査測定では、精密検査受診票発行数が、5.9%であり、受診結果として、要治療が0.4%であった。一方、今回の屈折機器を用いた他覚的屈折検査とランドルト環を併用した測定では、精密検査受診票発行数が20.0%、受診結果として要治療2.9%となった。精密検査を受けた園児数割合が4倍に増加し、要治療が7倍と明らかに増加した。3歳児健診で屈折異常、弱視を見落とさないようにするには、他覚的屈折検査の導入することが重要であることが富山市でも明らかになった。平成31年度、富山市予算案に手持ち屈折機器の導入経費が計上されている。機器の導入が図られれば、3歳児健診での実施に向け、準備したい。

6.特定健診・がん検診及び緑内障検診

 特定健診は第Ⅲ期2年目となる。平成30年度から詳細項目(12誘導心電図および眼底検査)の該当条件が変更となった。その中で眼底検査の受診率は予想されたより低かったが、運用をスムーズにして受診率アップに心掛けたい。また平成30年度より富山市国民健康保険を対象とした富山県糖尿病性腎症重症化予防推進事業が開始されたが、リストアップされた対象者に対する保健指導が効率的に行われるよう、行政と協力の上取り組んでいきたい。富山市における特定健診の受診率は、目標値の70%に比べいまだ低迷しているが、さらなる受診勧奨、休日健診の実施など富山市と協議の上、引き続き受診率アップに向けて努力したい。
 がん検診においては、厚生労働省の指針改正に伴い胃がん内視鏡検診の対象者が50歳以上の隔年となる。移行に際し混乱が生じないよう対応していきたい。
 また、緑内障検診は受診率と診断精度の向上を目指したい。平成30年度の受診率は6.9%と検診開始以来の最低であった。ポスターの掲示等で受診率の向上を目指したい。診断精度の向上に光干渉断層計(OCT)検査の追加導入を目指すべきだが、検査費用に見合わない。緑内障検診の住民への周知、OCT検査の必要性とその費用について富山市と協議したい。

7.スポーツ、運動器に関する啓発・検診

 スポーツ現場からの危険なサイン
 各種スポーツイベントの開催が、地域経済に貢献しているのは事実であるが、運動器の損傷を押さえるという面からはまだまだ改善すべきところが多く、また、イベントに動員される医療資源も無視できない規模になっている。
 スポーツを興行的、精神的な側面だけから捉えるのではなく、運動器の健康を保つ上で必要な具体策、また人的資源の効率的活用を提言していきたい。

8.病診連携の推進と勤務医労働環境の改善

 2017年(平成29年)3月に策定された「富山県地域医療構想」、および2018年(平成30年)3月に改定された新たな「富山県医療計画」の中で、各医療圏の実情を考慮した高度急性期から急性期、回復期、慢性期、在宅医療・介護に至る医療機能の分化と連携の推進、および地域包括ケアシステム構築への指針が示されている。この医療計画を推進する上で、医療連携に果たす富山市医師会の役割は極めて大きい。医療機能の分化と連携を円滑に推進するためには、病診連携による情報共有が極めて重要であり、富山市医師会は“たてやまネット”や医師会主催の地域連携の会などを通して連携のハブとしての役割を引き続き担っていきたい。
 医師の労働環境については、日本医師会の「医師の働き方検討委員会」で議論され、厚生労働省で検討中の「医師の時間外労働上限規制案」が2024年4月から適用されることから、富山県内においても医師の働き方改革の推進が大きな課題となっている。富山市では、一次救急を担う富山市・医師会急患センターと二次救急医療機関の連携が順調に進んでおり、急性期病院勤務医の負担軽減に大きく貢献している。しかし医師の過重労働を防ぐためには、救急医療以外にも様々な労働環境の改善が必要であり、富山市医師会では勤務医負担軽減について地域に即した課題を検討し実施していきたい。また男女共同参画の観点から、女性医師の労働環境改善と積極的な活躍を支援していきたい。

9.男女共同参画の推進

 医師に占める女性の割合が増加する中、様々なライフイベントに対応しながらキャリア形成を諦めず、働き続ける女性医師を医療現場だけでなく、組織の意思決定を担う場において重用を図る事は男女共同参画社会の実現だけではなく、医師の働き方改革や医療界の活性化に直結するものと思われる。
 富山市医師会では、富山大学と富山県医師会に協力して、子育てしながらも継続してキャリアアップに努める若い医師たちに講演を依頼、医学生や研修医を対象に身近なロールモデルとして活躍の様子を提示してきた。院内保育室や病児保育室を利用して研修や診療を続ける女性医師が増えてきたことを受けて、平成30年からはまだまだ女性の少ない外科系診療科において、周囲の協力と様々な制度を利用しながら強い意志を持って自己研鑽に努める女性医師を県外から招いて講演していただいている。併せて若手女性医師とペアトークを繰り広げた外科系診療科の教授たちは、主宰する科が日当直の体制の見直しなどを行い女性医師にも門戸を開いていると謳っており、外科系診療科における女性医師の増加を目指して同様の企画を今後も続ける予定である。
 しかし、外科系のみならず多くの科において妊娠や子育てなどのライフイベントにも対応しながら働き続ける女性医師たちが増えているとはいえ、それぞれの組織の意思決定を担う場においても活躍する女性医師は多くない。富山市医師会はこれからも男女共同参画への理解と意識の改革を進め、その活動においても女性医師が活躍できるような環境整備を通して、人材育成・活用に繋げていきたい。

10.富山市・医師会急患センターの運営

 富山市・医師会急患センターは平成23年10月に新築移転以降、年間4万5千人を超える受診者数となっている。引き続き一次救急と二次救急医療機関の役割分担を図りながら救急医療体制の維持、運営に心掛けたい。
 直面する課題として、実質午前6時までの当直体制における当直医の負担や疲弊、過労の問題がある。幸い富山大学からの当直医派遣の協力、また平成30年度からの急患センター専属医の配置により少しずつ負担は緩和されてきたと思われるものの、今後さらなる当直医の負担軽減に努めていきたい。また医師の働き方改革が叫ばれている中、状況を見据えながら一次医療の取るべきスタンスを模索していきたい。平成31年度は天皇即位に伴う10連休を迎えるが、救急医療体制が不備なく行われるよう調整を図りたい。平成31年度も救急医療合同会議を行う予定である。
 全国での夜間小児急患診療体制の整備については地域差があり、#8000番の導入後、軽症受診者のトリアージについて効果的に機能している地域もあると考えられている。現在、内科・外科同様、朝6時までの体制を維持し地域の小児時間外診療の根幹を担っている。平成6年度から平成30年度までの小児科時間外の年間受診者数は平成6年度の年間約9千人から少子化にも関わらず受診者数は増加し、現在は年間1万6千~8千人前後で推移している。平成30年4月現在の小児科出向医師数はひと月に開業医が14名~15名で平均年齢が63歳を超えてきている。これに大学や基幹病院で二次、三次救急も担う医師が参加して体制の維持に努めている。出向医師の高齢化は深刻な問題であるが、可能な限り一次急患診療については今後もこの体制が維持できるように地域小児科医への協力を求めていくとともに、現在の実情に応じた小児救急診療スキルアップのための啓発研修会などを行いたい。

11.富山市医師会健康管理センターの運営

 健診事業では、地域検診・職域検診・人間ドック・学童検診・富山市施設検診などを行っている。膨大な量の個人情報や種々のデータを扱っており、より一層安全なシステムの構築・運用を心掛けたい。
 従来の人間ドックに追加することができる種々の「オプション検査」を実施してきているが、平成29年より導入した「歯科・口腔がん検診」や「認知症検査」も順調に周知されてきている。今後も受診者の多様なニーズに対応できるようにオプション検査の充実を図りたい。また、医師ドックの便宜性や受診率の向上を目的に、「日曜ドック」を継続する予定である。健診精度のさらなる改善、健診受診者の満足度の向上と、会員の診療に寄与できる健診事業を行っていきたい。
 今後、各種医療器械やコンピューターシステムの更新や新規の購入を計画しているが、適切な財政計画のもと、健全な経営を行っていきたい。
 臨床検査事業として、以前より先生方から信頼される検査室であることを目指して運営してきた。
 運営状況としては保険点数改定に伴う減収がみられたものの、平成30年度同様に健全な状況を維持できた。これまで通り共同利用施設として精度管理を重視し正確なデータを提供する役割を担いながら、利便性の向上や地域医療の連携を支援し進めていきたい。

12.看護専門学校の運営

 医療分野、福祉分野でより多くの看護職者が求められ、全国的に看護師養成の必要性が増大している。新たな看護専門学校も設立されてきているが、まだまだ看護師不足の状態である。
 景気の変動により看護職の希望数も影響を受ける傾向にあり、最近は、富山県も含め全国的に増加してきている。このような中、富山市医師会看護専門学校は、これまでの実績以上にその存在が重要視されている。准看護師課程の存続については、近年、一般社会人からの入学希望者が多数あり、今後も存続させる社会的使命があると考えて運営にあたっていきたい。平成29年4月からは総曲輪レガートスクエアに新築移転し、准看護学科の入学生を今までよりさらに10名増やし、定数通りの90名としている。そして、その多くを富山市医師会会員の先生方に還元できるよう配慮しており、その成果も認められている。少子化が進み、高校卒業の生徒数が減少しているが、入学生の確保のため教職員による学校訪問、オープンキャンパス等を今後も積極的に展開して、学生の確保に努めていきたい。
 准看護師資格取得者が看護師となるための養成機関は、県内では本校だけである。当看護学科の意義と責任は重大であり、今後もより一層充実したものにし、県内の看護師養成の担い手になっていきたい。

13.地域産業保健事業の運営

 当事業は、平成30年度同様に厚生労働省の委託を受けた富山産業保健総合支援センター(労働者健康安全機構)に協力する形で継続していく予定である。
 地域産業保健センター事業(対象:50名未満の事業場)・産業保健総合支援センター事業(対象:50名以上の事業場)・メンタルヘルス対策支援センター事業の3事業が一元化されたことによるワンストップ・サービスの提供に向けての体制づくりを継続しつつ、平成28年度から開始したストレスチェックに係る面接指導についても引き続き相談、対応していく。
 富山市医師会としてもこれまで同様に富山県医師会、富山労働基準監督署、富山産業保健総合支援センター、富山県労働基準協会、富山市医師会健康管理センター等と連携していく。また、過労死やメンタルヘルス不調が社会問題としてクローズアップされる中で、働き方改革実行計画を踏まえ、長時間労働者の健康確保対策やメンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援をより一層推進し、労働者の健康を守るためにサービスの充実を図りたい。

14.IT化の推進

 富山市医師会内部のIT化では、健診システムの更新、施設検診・住民健診のシステム化の作業を進めている。
 また地域医療連携ネットワーク“たてやまネット”に関しては、富山市医師会会員を中心に富山医療圏の公的基幹病院との病診連携、富山市歯科医師会との医科歯科連携、健診機関との連携による健診情報の受け入れが整備されているが、平成30年度から富山市薬剤師会の参加を得た。
 医療・介護連携に関して、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションにもネットワークを拡充してきたが、その利用促進に向けた講習会を開催している。特に富山市南エリアでは医療・介護情報共有のモデルエリアを形成すべく、小規模講習会をエリア内で反復している。
 “たてやまネット”上ではそれ以外に小児在宅診療情報共有システム、心筋梗塞データ収集システム、脳卒中診療データ収集システムが運用されている。脳卒中診療データ収集について県内19救急病院が参加している富山大学脳神経外科の脳卒中データベース“TOY STORE”は、平成29年度からは富山県医師会の脳卒中情報システムと統合された。これにより富山県内で発症する脳卒中急性期のデータの大部分が補足されることとなった。平成30年度末からは県内の回復期病院も加わり回復期の治療やリハビリに関してもデータ収集が行えるようになり、その運用を富山市医師会が担っている。今後は脳卒中連携パスも“たてやまネット”上で行われるように計画を進めたいと考えている。

15.個人情報保護への対応

 富山市医師会は平成18年度に初めてプライバシーマークの認定を受け、2年毎に更新している。個人情報担当者会議は毎月開催し全体会議を年2回開催するとともに、全職員と富山市医師会役員全員が研修を受けている。
 平成29年5月に施行された改正個人情報保護法により、件数による適用除外がなくなった。この法改正に伴い、プライバシーマークも新規格「JISQ15001:2017」への対応が必要となった。
 個人情報に関する社会の要求は年々厳しくなっており、今後も全部門を挙げて更なる適正な対応に努めたい。