富山市医師会について
令和8年度(2026年度)富山市医師会事業計画
令和8年度富山市医師会事業計画
2026年度は、診療報酬改定の年であるが、この改定に当たっての基本認識にあるように、我が国の医療を取り巻く情勢は、持続的な物価高騰・賃金上昇の状況にあって、人口構造の変化や人口減少の中での人材確保が難しくなっており、その一方で、全ての地域・世代の患者が適切に医療を受けることが可能かつ、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制を構築する必要があり、加えて、医療の高度化や医療DX等による、安心・安全で質の高い医療の実現、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和が求められている。
さて、富山市医師会では、2025年4月に施行された「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第29号)の経過措置期間が終了する2028年3月に向けて、必要な見直しを順次進めているところである。
健康管理センターは、会員のための信頼される検査機関であるよう努めるとともに、健診業務の更なる充実を図る。看護専門学校では、地域や会員の先生方に必要とされる看護職者の養成に注力する。富山市・医師会急患センターは、富山医療圏における一次救急の役割をしっかりと果たすため、引き続き迅速かつ適切な診療体制を構築していく。
富山市医師会は、地域の医療・保健・福祉を守り支えることを医師会の責務と考え、以下の事業を行う。
1. 医療制度改革への監視と提言
2026年度の診療報酬改定は、2025年12月24日に行われた予算大臣折衝で診療報酬全体の改定率は+3.09%となった。2025年12月9日に社会保障審議会医療保険部会・社会保障審議会医療部会が発表した「2026年度診療報酬改定の基本方針」における「改定に当たっての基本認識」では、「物価・賃金の上昇、人口構造の変化や人口減少の中での人材確保」が挙げられており、厚生労働省もこのことを重点課題としている。富山市医師会としても、今回の改定が我々の日常診療にどのような影響を及ぼしたかを十分に吟味し、次回の診療報酬改定に向けて、会員からの意見を集約し提言を行っていきたい。今後、「第8次医療計画」、「第10期介護保険事業計画」、「(2040年に向けての)新たな地域医療構想」、「第4期医療費適正化計画」、「医療DXの推進」など多くの事項についてさらに具体的な政策が発表されていくと思われ、富山市医師会において今後どのように対応していくべきかを検討していきたい。我々医療者が不安なく診療することができ、市民の皆さまへ安心・安全でより質の高い医療を提供できるように、富山市医師会としても社会全体の監視を継続していきたい。
2. 危機管理体制の維持と充実
富山県防災会議地震対策部会では、県内全市町村において最大震度7を観測する可能性があるとした。能登半島地震に対するJMAT派遣の教訓を生かしていかなければならない。富山市医師会では大規模災害に対する事業継続計画(BCP)の拡充を継続していく。
2025年度は、業務継続訓練を含めた災害対策訓練、防災講演会の開催のほか、富山市総合防災訓練において富山市医師会として富山市保健所および富山市薬剤師会とともに応急救護所開設訓練を実施した。引き続き行政とその他関連組織との連携を図り、災害時に円滑な医療救護活動が行えるよう備えていく。また、富山市感染症危機管理医師研修会は多数の参加者を得るため、引き続きハイブリッド形式で開催する。富山市医師会職員に対する年2回の医療安全管理セミナーおよび交流発表会を継続し、各部門の連携強化、危機管理に対する意識の維持、向上に努める。
3. 富山市・医師会急患センターの運営
新型コロナウイルス感染症の2019年12月の初めての報告後、世界的流行を受けて以降、コロナ感染症だけでなく、インフルエンザをはじめ他の感染症のこれまでの流行時期のずれ、ピーク時期の患者数に変化をみとめている。一次救急医療を担う当センターは、その影響を鮮明に受けている。コロナ感染流行初期は総受診者数が激減し、その後徐々に増えてきていた。その中で、2024年12月から翌1月に過去最高のインフルエンザの流行をみとめ、2025年度は11月にインフルエンザ流行の前年度なみのピークをみとめた。当初の整えていた診療体制を急遽強化して対応した。一方、2025年度の受診者数は、前年度と比較し減少傾向をみとめている。
この受診者数の減少は、2021年4月以降、外科・小児科・内科の夜間診療終了時間を24時までに順次移行した影響を否めないが、他の要素も考慮しなければいけない。コロナ感染症の流行を受けた市民の受診行動の変容、人口減少の影響、#8000(こども医療電話相談)や#7119(救急医療電話相談)の周知効果など、いろいろな背景が考えられる。今後も新たな周辺環境の変化の影響を受けると考えられる。
このような状況変化に対応できるように組織の運営を見直し、体制の強化、緊急事態やリスクへの備えを整理しておく必要があると考える。
さて現在抱える問題の一つに、当直医の高齢化および数の減少がある。昭和40年代に計画が始まった当初の目的は、第一に開業医同士の自助互助であり、そして公助として一次救急医療を守ることであった。その理念は今も変わらないと考えるが、現状は富山大学附属病院をはじめ勤務医の協力・応援を得ながら何とか体制を維持しているところである。まずは開業医を主体として、スムーズな当直体制の維持・継続を図っていきたい。是非ともご理解、ご協力をお願いしたい。
小児救急において、2024年度は新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後、小児はコロナ禍において減少傾向にあった日常の感染症が増加し、休日夜間の時間外診療への受診者は新型コロナウイルス感染症流行以前の患者数へ戻りつつある。インフルエンザは2025年秋には、全国的に拡大し11月には祝日・休日に1日300人~400人の小児の受診者があり、2009年の新型インフルエンザ流行以来の患者数で臨時のスタッフ増員および診療時間外出向などにより乗り切ることができたので、今後も感染症流行拡大時期については維持できるような体制を富山市医師会として維持したい。年末年始における発熱患者への対応は、これまで通りの2診体制としながら地域医療がひっ迫しないように努めてきた。また、小児の一次救急が24時までとなった2021年度から、深夜帯での診療は二次救急医療機関へ問い合わせいただく体制となったが、この24時までの夜間体制を可能な限り維持・継続できるように地域小児科医への協力を求めながら、一次小児救急診療についても継続と今後の実情に応じた臨機応変な体制維持に努めたい。
4. 病診連携の推進と勤務医労働環境の改善
現在の「富山県地域医療構想」および「富山県医療計画」の中で示されている、各医療圏の実情を考慮した高度急性期から急性期、回復期、慢性期、在宅医療・介護に至る医療機能の分化と連携の推進、および地域包括ケアシステムの構築にあたり、富山市医師会の果たすべき役割は極めて大きい。
医師の労働環境については、医療法等の改正に基づく医師の時間外労働上限規制が2024年度から適用になっており、富山県内においても医師の働き方改革が進んできている。また、2026年度診療報酬改定の基本方針でも、「物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取り巻く環境の変化への対応」が重点事項として示され、すべての医療従事者が健康的に働き続けることが、患者・市民に対して医療の質・安全を確保するのに重要としている。救急医療に関して富山市では、初期救急を担う富山市・医師会急患センターと二次救急医療機関の連携が順調に進んでおり、急性期病院勤務医の負担軽減に貢献している。しかし医師の過重労働を防ぐためには、救急医療以外にも入院から在宅へなど地域としてのタスクシフトや医療連携等様々な労働環境の改善が必要である。「2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進」に示されるとおり、かかりつけ医機能の推進、病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による病院の外来患者の逆紹介の推進、質の高い在宅医療・訪問看護の確保などは勤務医負担軽減につながるものであり、富山市医師会では地域全体に共通する課題を検討し、働き方改革への施策を実施していきたい。また男女共同参画の観点から、女性勤務医師の労働環境改善と積極的な活躍を支援していきたい。
5. 男女共同参画の推進
医師に占める女性の割合は年々増加しており、医師の働き方改革が本格的に進む現在において、性別にかかわらず多様な医師がそれぞれのライフイベントと両立しながら、継続的にキャリアを形成できる環境整備は、医療の質の維持・向上のためにも重要な課題である。
近年は「男女共同参画」という概念に加え、「ダイバーシティ&インクルージョン」の考え方が広く用いられるようになっている。こうした流れを踏まえ、女性医師がその能力を十分に発揮し、医師会活動や医療現場、さらには組織の意思決定に関わる場においても積極的に参画できる環境を整えることは、男女共同参画社会の実現のみならず、医療界全体の活性化につながるものと考えられる。
富山市医師会は、引き続き男女共同参画に対する理解と意識の醸成を図るとともに、富山大学および富山県医師会等の関係機関と連携し、女性医師をはじめとする多様な人材が活躍できる環境づくりを推進する。これらの取り組みを通じて、次世代を担う医師の育成と人材の有効活用につなげていく。
6. 在宅医療と地域包括ケアシステムの推進
地域包括ケアシステムの構築とは、可能な限り住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりである。それには国の在宅医療連携拠点事業、在宅医療推進事業を基盤とした在宅医療体制構築、在宅医療推進、在宅医療介護連携推進、医療・介護関係者の研修、地域住民への啓発等が必要となる。富山市医師会はこれらを踏まえ、在宅医療と地域包括ケアシステムの推進の事業計画を下記のとおりとする。
①在宅医療の質向上のための医療職・多職種を対象とした研修会の開催
②エリア会議による医療と介護のさらなる信頼関係の構築
③在宅医療・介護サービスの普及・啓発のための市民公開講座の開催
④在宅医療の環境整備および在宅医療を実施している会員への支援
⑤市民を対象にしたアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を含めた死生学の啓発
富山市医師会としては、これらの事業を通じて在宅医療を行う上での環境整備とそれに関わる多職種の人材づくり、在宅医療連携拠点整備を行っていく。
7. 保健、福祉との連携強化
富山市の人口は、2010年をピークに減少局面に入り、2045年には2010年比で約4分の3まで減少すると推計されている。あわせて高齢化の進行も著しく、富山県における2025年(令和7年10月1日現在)の高齢化率(65歳以上人口割合)は約33.8%と、全国平均を上回る水準にある。今後も高齢化率は上昇を続け、2050年には約41.4%に達すると見込まれており、富山市においても人口構造の大きな変化への対応が求められている。
また、富山市においては、1人暮らしや夫婦のみの高齢者世帯の増加が進んでおり、医療、介護、生活支援を複合的に必要とする高齢者が地域に分散して生活する状況が拡大している。特に、医療・介護ニーズの高い75歳以上人口は2030年頃にピークを迎えるとされており、限られた医療・福祉資源を効果的かつ効率的に活用する体制の構築が不可欠である。
一方、人口減少の進行に伴い、保健・福祉分野に従事する人材の確保は一層困難となっている。このため、医療機関や介護・福祉関係機関がそれぞれ個別に対応する体制では、多様化・高度化する地域住民のニーズに十分対応することが難しくなりつつある。疾病の治療にとどまらず、予防、介護、生活支援、看取りまでを含めた切れ目のない支援体制の構築が必要である。
富山市においては、富山市医師会在宅医療支援センターを中心として、在宅医療の推進および多職種連携に関する取り組みが進められてきた。今後は、富山市内の医療機関、介護施設、地域包括支援センター、行政、保健師等との連携を一層強化していく必要がある。
保健・福祉分野における人材の確保および育成は、富山市の地域医療・地域福祉を持続的に支える基盤である。富山市の実情および地域ニーズを踏まえ、計画的かつ継続的な取り組みを推進するとともに、関係機関の役割分担および連携体制を明確化し、地域住民が住み慣れた地域で安心して生活を継続できる体制の整備を図る。
8. 行政との連携による乳幼児・学校保健活動の充実および小児領域の在宅医療整備への取り組み
乳幼児の健康予防医学の充実の基本である、予防接種の接種率向上および現在任意で行っている予防接種の定期接種化に向けた啓発と、これに関わる接種後の疾病構造の変化や関連する市中感染症の流行状況等を行政と連携し、検証することで小児の健康維持推進に努めたい。
学校保健活動については、これまでの運動器検診への取り組み支援やすこやか検診による評価・結果およびすこやか相談事業の見直しへの協力等、より一層充実した検診業務になるよう努めていく。
また、近年増加傾向にある長期欠席児童などへの学校健診の充実やいじめ問題対策検討委員会などへの協力について富山市教育委員会との連携を含めて対応したい。
ポストNICUや重症心身障害児等の小児医療的ケア・小児在宅医療問題については、2021年9月より医療的ケア児支援法の施行がなされ、乳幼児保健委員会が協力できる範囲内でこの問題を取り上げ、行政や富山医療圏の関連医療機関や地域医療連携医との協力を図るとともに、2023年度には学校における医療的ケア児受け入れガイドラインの策定等に参画し、今後もその内容の検証や充実に努めたい。また、これに関わる多職種連携のための啓発研修会を企画・実施しており、今後も可能な範囲で継続していきたい。2019年度からは、富山県および富山市においても医療的ケア児支援者養成研修会事業やコーディネーター養成研修会が開催され、富山県医師会と共にこれらに協力した活動を継続し、富山市から県内全域へ連携できる体制を推進していきたい。乳幼児期から医療的ケアを必要とする子どもたちが安心して成長・発達・生活していける医療・福祉・教育連携へ、富山市医師会として具体的にできることを整理して解決できるようにしたい。
2019年度より富山市で開始された屈折検査機器による3歳児視力検査は、2021年に県内全域へ普及した。当初は精密健診の報告書が初診時に提出されていたため正確な診断結果の把握に課題があったが、市との協力により2024年度より受診半年後に結果報告を行う運用へと改善された。2024年度の追跡調査では弱視71名、斜視12名が判明しているが、単年度の結果のみで結論付けるのは時期尚早である。今後は複数年にわたり正確なデータを蓄積し、市内における弱視や斜視の正確な頻度を検証していく。
9. 特定健診・がん検診および緑内障検診
特定健診・保健指導は2008年より開始となり、2026年度は第Ⅳ期3年目となる。受診率は国民健康保険では特定健診・保健指導ともに相変わらず国の目標値には至っていない。そんな中各期ごとに検討、改善が重ねられており、糖尿病性腎症重症化予防事業の開始、マイナンバーカードによる特定健診のデータ閲覧の開始、2025年度からは国民健康保険特定健診、後期高齢者健診での貧血検査のルーチン化が行われた。2022年度から開始した「特定健診みなし健診」はいまだ受診数は少ないが、周知を進めていきたい。がん検診に関しては特に大きな変更点はない。国の推奨する基準に従いながら引き続き受診勧奨をすすめていきたい。さて昨今国の施策で医療のDX化、標準化が進められている。がん検診においても全国共通の基盤での管理・運用が求められ、富山市でも2028年から「健康かるて」という名称で運用開始の予定である。それに向けて行政と協議を重ねていく予定である。
緑内障検診は早期発見・早期治療を目的に、現在は45・50・55歳を対象としている。過去3年間の判定率は、緑内障・高眼圧症・閉塞隅角症(前視野緑内障・緑内障疑い含む)が受診者の約6.7〜10.1%、その他疾患を含めた有所見率は約7.6〜13.6%といずれも高率である。一般的に緑内障は高齢になるほど発症リスクが高まる背景を鑑み、新たに60・65歳を検診対象に加えること、および約6%台に留まっている受診率の向上を課題とし、市と引き続き協議していく。
10. スポーツ・運動器に関する啓発および検診の推進
小児期からのスポーツおよび運動器に関する啓発並びに検診の取り組みを強化することは、市民の健康増進を図るとともに、運動器疾患の早期発見および予防につながる重要な施策である。健康寿命の延伸に向けては、幼少期から健康的な運動習慣を身に付けた子どもの割合を高め、将来的に健康で活力に満ちた長寿社会の実現につなげていくことが求められている。
このため、スポーツや運動を日常的に行う子どもの割合を増加させる取り組みを推進するとともに、発育・発達段階に応じた適切な観察および見守りを行うことが重要である。特に、骨、関節、筋、神経、脊髄等からなる運動器については、小児期から継続的に状態を把握することにより、側弯症、姿勢不良、しゃがみ込み動作の困難、体幹前屈の制限や疼痛等の異常を早期に発見することが可能となる。
現在、学校保健安全法に基づく学校定期健康診断において運動器検診が実施されており、小学校1年生から高等学校3年生までの全学年を対象として行われている。検診は学校医を中心に、運動器に関する専門的知見を有する医師が実施し、異常が疑われる児童生徒については、整形外科専門医による二次検診へとつなぐ体制が整備されている。
富山市においては、富山市医師会および整形外科専門医等と連携し、学校医を中心とした運動器検診体制の質の向上を図るとともに、異常が疑われる児童生徒が速やかに二次検診を受診できる体制の維持・強化を図り、早期発見および早期対応を促進する。
あわせて、学校関係者を対象とした運動器の健康に関する研修や情報提供を行い、専門的知見の共有を図ることで、学校現場における対応力の向上を図る。さらに、保護者や教育関係者への理解促進を通じて、必要な児童生徒が適切に医療につながる環境整備を進める。
これらの取り組みを通じて、成長期における適切な運動習慣の形成を支援し、生涯にわたる健康づくりの基盤強化を図る。
11. 富山市医師会健康管理センターの運営
健診事業では、職域健診・人間ドック・学校検診・富山市施設検診などを行っている。
当センターは2024年度に日本総合健診医学会の優良総合健診施設に認定され、2026年度に更新となる。
人間ドック部門では、利用者の多くを占める協会けんぽにおいて、従来実施される生活習慣病健診コースに加え、2026年度より被保険者を対象に人間ドックコースが新設され、2027年度には被扶養者にも拡大される予定である。またオプション検査では経膣超音波検査をセット化した子宮体がん検査を実施する。これからもより精度の高い健診を受診者に提供していきたい。
臨床検査事業では、特定健診において貧血検査が追加になった事で、受託検査件数が若干増加したが、利用率は医療機関の閉院も重なり74%から約71%と微減した。中でも、行政主体である特定健診や大腸がん検診においては受診者件数の減少傾向が続いていることから、行政との連携強化の必要性を感じている。
精度管理の面では、2026年度には品質保証施設認証制度の更新を行う予定である。また、より多くの会員に利用していただけるよう、コンパクトで装着感の少ないホルター心電図への機器更新を行う。今後としては、検査システムの更新を予定しており、オーダリング機能の充実を図ると共により多くのメーカーとの連携が可能なシステムの構築を行いたいと考えている。
2023年度から続く、物価や材料費、人件費等の上昇に加え、2026年6月の保険点数改定により経営を悪化させる要因の一つとなることが予想される。今後も市場動向を見極めながらリスク管理体制の整備を進め、安定的かつ持続可能な共同利用施設を目指していきたい。
12. 看護専門学校の運営
医療・福祉の分野で看護師の需要が高まる一方で、全国的に看護師養成所(大学を除く)の入学者数の定員割れや減少が続き、中でも准看護師学校養成所数および入学者数の減少は顕著である。しかしながら、本校は、(1)働きながら学ぶことができる定時制であること、(2)中学卒業以上の最終学歴で資格を取得できる准看護学科、さらに准看護師資格取得後、看護師国家資格を取得できる看護学科まで一貫した教育が受けられる県内唯一の学校である。本校の入学の高校新卒者は年々減少し、大多数はすでに高校新卒者以外となってきており、幅広い年代・学歴の方から、やり直し・学び直しの場として選択されている。この本校の特色を考えると、少子高齢化社会により看護職者の需要増加・供給減少が続いている現在、准看護師制度の存在意義は充分にある。今後も当医師会の社会的使命として准看護師課程を存続させるよう活動していきたい。
これまで行ってきた、オープンキャンパスや学校訪問実施、SNS等を活用して、その魅力を県民に広く広報することに加え、入学応募手続きのデジタル化や低額化を行い、入試科目は当校受験者の大多数を占める社会人を対象としたものに見直し、入学応募しやすい体制をとることで、より多くの学生の確保を目指す。昨年度、富山県知事に富山県看護教育機関連絡協議会(本校を含む6校の看護師養成所による)より、「看護師養成施設への支援拡充と高等教育修学支援新制度の改正を求める要望書」が提出されたが、今年度も行政への支援拡充の働きを続けていきたい。
13. 地域産業保健事業の運営
富山地域産業保健センターは、厚生労働省の委託を受けた富山産業保健総合支援センター((独)労働者健康安全機構)に協力する形で事業を継続している。
産業医を選任する義務のない50人未満の事業場の労働者の健康を守るために、健康診断結果についての意見聴取(健康診断結果に基づく保健指導に関する事項や健康診断結果の有所見者に対する就業上の措置)をはじめ、長時間労働者と高ストレス者に対する面接指導、個別訪問による産業保健指導(職場巡視)を実施している。
労働安全衛生法の改正により、2028年には50人未満の事業所にもストレスチェックが義務化となることにより地域産業保健センターの果たす役割は今まで以上に重要となる。今後も富山県医師会・富山労働基準監督署・富山県労働基準協会・富山県社会保険労務士会・富山市医師会健康管理センター等と連携してサービスを提供していきたい。
14. 医療デジタル化の推進
富山市医師会内では、健診システムの更新、施設検診・住民健診のシステム化の作業を進めている。また地域医療連携ネットワーク「たてやまネット」に関しては、富山市医師会員を中心に富山医療圏の基幹病院との病診連携、富山市薬剤師会に加え、健診機関との連携を強化している富山市医師会健康管理センターを含め3健診センターの健診情報の共有が整備される予定である。
これにより健診情報を会員医療機関における医療情報とリンクさせ、受診者並びに市民の健康を会員と共に守っていく体制が準備される。受診者の同意を基に「かかりつけ医」機能が補完され、いずれはPHR・EHRへの基礎的データとなることも期待される。
また、医療介護連携においても、地域包括支援センター、居宅介護事業所、訪問看護ステーションなどとの情報連携についてさらに検討していきたい。
たてやまネット上では、それ以外に小児在宅診療情報共有システム、心筋梗塞データ収集システム、 富山県医師会の脳卒中情報システムが運用されている。脳卒中情報システムについては県内18救急 病院と8回復期病院が参加しており、富山県内で発症する脳卒中急性期のデータに加えて、回復期の治療やリハビリに関してもデータ収集が行えるようになっており、今後もその運用を富山市医師会が担っていきたい。