富山市医師会について

令和7年度(2025年度)富山市医師会事業計画

令和7年度富山市医師会事業計画

2025年は、約800万人いる全ての「団塊の世代」が75歳以上になる年であり、国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えることで、雇用、医療、福祉といった日本の経済や社会の広い領域に深刻な影響を及ぼすと考えられている。超高齢化社会の後には、少子化の進展と相まっての急速な人口減少が控えており、加えて、近年頻発する自然災害その他の危機事象への対応等、医師会を取り巻く状況は、より複雑で困難になって行くことが危惧される。

さて、2024年5月に公布された「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第29号)が2025年4月1日に施行される。改正後の法律には、法人が効率的に運営できるための変更が盛り込まれており、全ての公益法人はこの新しい法律に基づいて運営を行う必要がある。事務局では、法改正に伴って必要となる対応に向け、全国公益法人協会が開催するセミナーに職員を派遣するなどして準備を進めてきた。

健康管理センターは、会員のための信頼される検査機関であるよう努めるとともに、健診業務の更なる充実を図る。看護専門学校では、地域や会員の先生方に必要とされる看護職者の養成に注力する。富山市・医師会急患センターは、富山医療圏における一次救急の役割をしっかりと果たすため、引き続き迅速かつ適切な診療体制を構築していく。

富山市医師会は、地域の医療・保健・福祉を守り支えることを医師会の責務と考え、以下の事業を行う。

1. 医療制度改革への監視と提言

2024年度の診療報酬改定は、診療報酬全体では+0.88%となったが、急激な人件費の増加、人材確保の難しさ、物価の高騰など医療環境は厳しさを増しており、富山市医師会としても、今回の改定が我々の日常診療にどのような影響を及ぼしたかを十分に吟味し、次回2026年度の診療報酬改定に向けて、会員からの意見を集約し提言を行っていきたい。社会保障審議会医療部会が医療提供体制の改革について討議してきた内容が、2024年12月25日に「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見」として発表された。具体的には、「新たな地域医療構想」、「医師偏在対策」、「医療DXの推進」などについての方針が公表されている。今後、これに基づき具体的な政策が発表されていくと思われ、富山市医師会において今後どのように対応していくべきかを検討していきたい。また、2025年4月より、かかりつけ医機能報告制度が施行されようとしている。我々医療者が不安なく診療することができ、市民の皆さまへ安心・安全でより質の高い医療を提供できるように、富山市医師会としても社会全体の監視を継続していきたい。

2. 危機管理体制の維持と充実

能登半島地震に対するJAMT派遣は、2024年5月末で終了したが、この教訓を生かしていかなければならない。富山市医師会では地震・風水害等の大規模災害に対する事業継続計画(BCP)の策定・整備を行い、大規模災害マニュアルの見直し・改訂を続けているが、2024年11月に開催された三市医師会協議会(金沢市、福井市、富山市)での各市医師会からの「能登半島地震への対応状況」報告に基づく協議を経て、さらなる充実を行う。

2024年度は、富山市総合防災訓練に富山市医師会として参加し、応急救護所開設訓練を行った。引き続き行政とその他の関連組織との連携を図り、災害時の医療救護活動を行えるように備えていく。また、富山市感染症危機管理医師研修会は多数の参加者を得るために、引き続きハイブリッド形式で開催する。富山市医師会職員に対する医療安全管理セミナーや交流発表会を継続し、各部門の連携強化、危機管理に対する意識の向上に努める。

3. 富山市・医師会急患センターの運営

新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行後も流行を繰り返しているが、重症度や社会的な対応は変化を見せている。また2024年度は12月から1月にかけて過去最高のインフルエンザの流行となり、当センターでも未曽有の患者数への対応に追われた。さて2025年4月からは通常の風邪が急性呼吸器感染症として、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と同じ5類に位置づけられることとなった。これは呼吸器感染症の動向の把握ならびに未知なる呼吸器感染症の探知への備えでもあり、当センターでもいまだ変異を繰り返す新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの大流行、また新たな呼吸器感染症の発生等の有事に備えて、今一度組織の運営を見直し、体制の強化、緊急事態やリスクへの備えを整理しておく必要があると考える。

さて現在抱える問題の一つに、当直医の高齢化および数の減少がある。昭和40年代に計画が始まった当初の目的は、第一に開業医同士の自助互助であり、そして公助として一次救急医療を守ることであった。その理念は今も変わらないと考えるが、現状は富山大学附属病院勤務医の協力・応援を得ながら何とか体制を維持しているところである。まずは開業医を主体として、スムーズな当直体制の維持・継続を図っていきたい。是非ともご理解、ご協力をお願いしたい。

小児救急において、2024年度は新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後、小児はコロナ禍において減少傾向にあった日常の感染症が増加し、休日夜間の時間外診療への受診者は新型コロナウイルス感染症流行以前の患者数へ戻りつつある。インフルエンザは2024年秋以後、全国的に拡大し年末の流行期に移行、年末年始における発熱患者への対応は、これまで通り繁忙期には2診体制としながら地域医療がひっ迫しないように努めてきた。また、小児の一次救急が24時までとなった2021年度から、深夜帯での診療は二次救急医療機関へ問い合わせいただく体制となったが、この24時までの夜間体制を可能な限り維持・継続できるように地域小児科医への協力を求めながら、一次小児救急診療についても継続と今後の実情に応じた臨機応変な体制維持に努めたい。

4. 病診連携の推進と勤務医労働環境の改善

現在の「富山県地域医療構想」および「富山県医療計画」の中で示されている、各医療圏の実情を考慮した高度急性期から急性期、回復期、慢性期、在宅医療・介護に至る医療機能の分化と連携の推進、および地域包括ケアシステムの構築にあたり、富山市医師会の果たすべき役割は極めて大きい。医療機能の分化と連携を円滑に推進するためには、病診連携による情報共有が大変重要であり、富山市医師会では「たてやまネット」等を通して連携のハブとしての役割を引き続き担っていきたい。

医師の労働環境については、医療法等の改正に基づく医師の時間外労働上限規制が2024年度から適用になっており、富山県内においても医師の働き方改革が進んできている。また、2024年度診療報酬改定の基本方針でも引き続き、救急医療を中心とした「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」が重点課題に位置づけられた。救急医療に関して富山市では、初期救急を担う富山市・医師会急患センターと二次救急医療機関の連携が順調に進んでおり、急性期病院勤務医の負担軽減に貢献している。しかし医師の過重労働を防ぐためには、救急医療以外にもタスクシフトや医療連携等様々な労働環境の改善が必要である。富山市医師会では、勤務医負担軽減について地域全体に共通する課題を検討し、働き方改革への施策を実施していきたい。また男女共同参画の観点から、女性勤務医師の労働環境改善と積極的な活躍を支援していきたい。

5. 男女共同参画の推進

医師に占める女性の割合が増加する中、コロナ禍を経て、また医師の働き方改革が進められる中においても、女性医師が様々なライフイベントに対応しながらキャリア形成を諦めず働き続けられる環境は、医師の働き方改革を進める上でも重要なことと考えられる。昨今、男女共同参画という単語に代わってダイバーシティ&インクルージョンという単語が徐々に用いられるようになってきているが、男女共同参画を意識して女性医師が能力を十分に発揮し、組織の意思決定を担う場での重用を図る事が男女共同参画社会の実現だけではなく、医療界の活性化に直結するものと思われる。富山市医師会はこれからも男女共同参画への理解と意識の改革を進め、富山大学や富山県医師会と協力しながらその活動においても女性医師が活躍できるような環境整備を通して、人材育成・活用につなげたい。

6. 在宅医療と地域包括ケアシステムの推進

地域包括ケアシステムの構築とは、可能な限り住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりである。それには国の在宅医療連携拠点事業、在宅医療推進事業を基盤とした在宅医療体制構築、在宅医療推進、在宅医療介護連携推進、医療・介護関係者の研修、地域住民への啓発等が必要となる。富山市医師会はこれらを踏まえ、在宅医療と地域包括ケアシステムの推進の事業計画を下記のとおりとする。

①在宅医療の質向上のための医療職・多職種を対象とした研修会の開催

②エリア会議による医療と介護のさらなる信頼関係の構築

③在宅医療・介護サービスの普及・啓発のための市民公開講座の開催

④在宅医療の環境整備および在宅医療を実施している会員への支援

⑤市民を対象にしたアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を含めた死生学の啓発

富山市医師会としては、これらの事業を通じて在宅医療を行う上での環境整備とそれに関わる多職種の人材づくり、在宅医療連携拠点整備を行っていく。

7. 保健、福祉との連携強化

富山市の人口は、2010年をピークに減少に転じており2045年には2010年の4分の3程度まで減少すると予想されている。高齢化も深刻で、富山県の高齢化率は2023年の時点で33.3%となっており、既に3人に1人が高齢者となっている。保健・福祉に携わる人が減少している状況であり、これからは、健康寿命を伸ばし人口減少と高齢化への対応を早急に進めていく必要がある。富山市には富山市医師会在宅医療支援センターがあり、より住み慣れた地域で自分らしく暮らしていく体制を作っている。また、地域内の医療機関、介護施設、地域包括支援センター等と連携し、地域包括ケアシステム構築に向けて、保健・福祉での地域住民の健康・公衆衛生を推進していく必要がある。保健・福祉分野での人材の確保と育成は、社会全体にとって喫緊の課題となっており地域ごとのニーズに応じ、柔軟で継続的な対策を検討し、従事者がやりがいを感じながら働ける環境を整えていきたい。

8. 行政との連携による乳幼児・学校保健活動の充実および小児領域の在宅医療整備への取り組み

乳幼児の健康予防医学の充実の基本である、予防接種の接種率向上および現在任意で行っている予防接種の定期接種化に向けた啓発と、これに関わる接種後の疾病構造の変化や関連する市中感染症の流行状況等を行政と連携し、検証することで小児の健康維持推進に努めたい。また、定期接種であっても、国および自治体による積極的勧奨が差し控えられていたHPVワクチンについては、現在定期接種として勧奨が再開され、富山市医師会としても会員にHPVワクチンについての情報を周知しながら、対象年代の保護者および接種対象者への情報提供を充実させたい。

学校保健活動については、これまでの運動器検診への取り組み支援やすこやか検診による評価・結果およびすこやか相談事業の見直しへの協力等、より一層充実した検診業務になるよう努めていく。

ポストNICUや重症心身障害児等の小児医療的ケア・小児在宅医療問題については、2021年9月より医療的ケア児支援法の施行がなされ、乳幼児保健委員会が協力できる範囲内でこの問題を取り上げ、行政や富山医療圏の関連医療機関や地域医療連携医との協力を図るとともに、2023年度には学校における医療的ケア児受け入れガイドラインの策定等に参画し、今後もその内容の検証や充実に努めたい。また、これに関わる多職種連携のための啓発研修会を企画・実施しており、今後も可能な範囲で継続していきたい。2019年度からは、富山県および富山市においても医療的ケア児支援者養成研修会事業やコーディネーター養成研修会が開催され、富山県医師会と共にこれらに協力した活動を継続し、富山市から県内全域へ連携できる体制を推進していきたい。乳幼児期から医療的ケアを必要とする子どもたちが安心して成長・発達・生活していける医療・福祉・教育連携へ、富山市医師会として具体的にできることを整理して解決できるようにしたい。

2019年度より富山市で開始された「屈折検査機器を用いての3歳児の視力検査」は、2021年に県内全域に拡がった。視力不良が疑われた場合は、精密健康診査受診票が発行され眼科受診となるが、十分な検査が施行されていない初診時に富山市へ受診結果報告書が提出されていたため、診断の正確性が欠けていた。そこで富山市の協力を得て、受診半年後に結果報告書を提出するよう改善し、2024年度より正確な診断結果が出ると考えられる。富山市における弱視の正確な頻度を調査していきたい。

9. 特定健診・がん検診および緑内障検診

特定健診・保健指導は2008年より開始となり、2025年度は第Ⅳ期2年目となる。受診率は、国民健康保険では特定健診・保健指導ともに相変わらず国の目標値には至っていない。そんな中各期ごとに検討、改善が重ねられており、例えば人工透析患者の増加に備えて糖尿病性腎症重症化予防事業の開始、またマイナンバーカードによるオンラインサービスでは、前年度の特定健診のデータが閲覧できるようになった。2025年度からは、特定健診、後期高齢者健診ともにかねてからの要望であった貧血検査のルーチン化が始まる見込みである。なお課題としては、2022年度から開始した「特定健診みなし健診」はいまだ受診数は少ないが、周知を進めていきたい。

がん検診に関しては特に大きな変更点はない。コロナ禍で低下した各受診率も徐々に回復しつつあり、引き続きご協力をお願いしたい。

また、緑内障検診は早期発見・早期治療を目指し、現在45、50、55歳が対象年齢であるが、高齢になるほど緑内障の発症が高率となることより60、65歳も検診対象に加えていただき、緑内障での失明者が減少するよう富山市と引き続き協議していきたい。また特定健診での眼底検査は詳細項目となっており、眼底検査の対象でありながら眼底検査を受けた率は5.7%と低率であり、眼底検査の必要性を特定健診研修会などで説明していきたい。

10. スポーツ、運動器に関する啓発・検診

小児期からのスポーツと運動器に関する啓発・検診の取り組みを強化することで、市民の健康促進と疾患の早期発見・予防が期待できる。健康寿命の延伸に向けて健康な運動習慣を有する子どもの割合を増やすことで、健康で活力に満ちた長寿社会の実現につなげることが重要と思われる。それには、スポーツや運動を習慣的にしている子どもの割合を増加させていく必要がある。

健康長寿には、小児期からの観察・見守りが必要であり、骨・関節・神経・脊髄等の運動器を検診することで側彎症や姿勢不良、しゃがみ込みができない、体幹の前屈ができない・痛い等を早期に発見できるようになった。現在、学校定期健診に運動器検診の項目が加わっており、対象学年は小学校1年生~高等学校3年生までの全学年で行われている。学校医を中心とした運動器専門医が診察し問題を認めた子どもは、整形外科専門医による2次検診を受けることで早期の異常発見をすることが可能になっており、更なる運動器検診の受診を推奨したい。

11. 富山市医師会健康管理センターの運営

健診事業では、職域健診・人間ドック・学校検診・富山市施設検診などを行っている。

2024年度は、一般社団法人日本総合健診医学会の審査により、当センターの健診設備・健診システム・受診者対応・安全対策・感染対策などが、社会的に信頼される医療水準で運営されているとして優良総合健診施設として認定された。また、健診の受け入れ人数をコロナ前と同様の受診枠(午前中108名)に戻すとともに、新オプション検査の「経膣超音波検査」「HPV検査」を開始した。

2026年度には、健診利用者の多くを占める協会けんぽの健診コースの見直しが予定されており(生活習慣病予防健診の項目の見直し・人間ドックに対する補助の実施・若年層を対象とした健診の実施)、2025年度はそれに向けた体制の構築と準備を行うこととしている。

2025年度も公共料金をはじめとする物価の高騰、人材不足、人件費の上昇など様々な逆風が予想されるが、利用者が安心して健診を受けられるよう、引き続きスタッフ一同努力を続けるとともに、会員の診療に寄与できる健診事業を行っていきたい。

検査事業では、新型コロナウイルス感染症のPCR検査減少分を補う受託検査分が戻りつつあり、利用率も約74%までと僅かではあるものの増加してきた。しかしながら、収入内訳では受託検査・特定健診・大腸がん検診の件数に減少傾向が見られるため、引き続き行政との連携強化を図っていく。また、2023年度から続く急激な為替変動やエネルギーコストの上昇は、物価や医療機器、材料(特に試薬・各種採血管等)、水道光熱費、燃料費の高騰をきたし、更には2024年6月の診療報酬改定により、出検数が増えても収益が伸びない状況が続いている。これらは更に経営を悪化させる要因の一つになるため、今後もより慎重に事業を進めていく必要がある。

今後も検査事業をより信頼できるものとし、より多くの会員に利用していただけるよう、検査精度を担保しつつ迅速に正確なデータを提供することを目的として、2024年6月に品質保証施設認証制度2回目の更新を行った。2024年度は新規開業の電子カルテ導入時や電子カルテ更新時のオーダリング依頼(6件)にしっかりと対応したところであり、引き続き個別の依頼に対応を行いつつ、2028年度に予定している検査システムの更新にあたっては、利用者の利便性の向上を図るためより多くのメーカーと連携可能なシステムを構築するとともに、診療工房の運用見直しや新たな機能の追加等を検討していく。

12. 看護専門学校の運営

看護専門学校は、(1)働きながら学ぶことができる定時制であること、(2)中学卒業以上の最終学歴で資格を取得できる准看護学科、さらに准看護師資格取得後、看護師国家資格を取得できる看護学科まで一貫した教育が受けられる県内唯一の学校であることがその大きな特徴であり、幅広い年代・学歴の方から、やり直し・学び直しの場として選択されている。全国的に准看護師学校養成所数および入学者数は年々減少していることは事実であるが、准看護師制度は、1951年に看護師不足を補うという目的のもと、看護師より短い一般教育歴要件、かつ短期間の養成で取得できる資格として創設された。少子高齢化社会により看護職者の需要増加、供給減少は続いており、准看護師制度の必要性は以前にも増して高いものと考えられ、日本医師会もその廃止に明確に反対している。今後も准看護師課程を存続させることは当医師会の社会的使命であると考えて運営にあたっていきたい。

オープンキャンパスや学校訪問実施、SNS等を活用して、その魅力を県民に広く広報し、富山市医師会員が開設する施設従事者向けの推薦入試枠の利用促進をはかるなどして、より多くの学生の確保を目指していきたい。

13. 地域産業保健事業の運営

富山地域産業保健センターは、厚生労働省の委託を受けた富山産業保健総合支援センター((独)労働者健康安全機構)に協力して事業を継続している。

産業医を選任する義務のない50人未満の事業場の労働者の健康を守るために、健康診断結果についての意見聴取(健康診断結果に基づく保健指導に関する事項や健康診断結果の有所見者に対する就業上の措置)をはじめ、長時間労働者と高ストレス者に対する面接指導、個別訪問による産業保健指導(職場巡視)を実施しており、今後も富山県医師会・富山労働基準監督署・富山県労働基準協会・富山県社会保険労務士会・富山市医師会健康管理センター等と連携してサービスを提供していきたい。

14. IT化の推進

富山市医師会内では、健診システムの更新、施設検診・住民健診のシステム化の作業を進めている。また地域医療連携ネットワーク「たてやまネット」に関しては、富山市医師会員を中心に富山医療圏の基幹病院との病診連携、富山市歯科医師会、富山市薬剤師会に加え、健診機関との連携を強化している富山市医師会健康管理センターを含め3健診センターの健診情報の共有が整備される予定である。

これにより健診情報を会員医療機関における医療情報とリンクさせ、受診者並びに市民の健康を会員と共に守っていく体制が準備される。受診者の同意を基に「かかりつけ医」機能が補完され、いずれはPHR・EHRへの基礎的データとなることも期待される。

医療・介護連携に関して、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションにもネットワークを拡充してきた。本来、介護分野におけるICT化は行政が主体となるべき分野であり、今後の市政の方向にもよるが、まずは医療情報共有の原点に立ち返って医療機関同士の診療情報の共有と利用促進に向けた支援を続けたい。

たてやまネット上では、それ以外に小児在宅診療情報共有システム、心筋梗塞データ収集システム、富山県医師会の脳卒中情報システムが運用されている。脳卒中情報システムについては県内18救急病院と8回復期病院が参加しており、富山県内で発症する脳卒中急性期のデータに加えて、回復期の治療やリハビリに関してもデータ収集が行えるようになっており、今後もその運用を富山市医師会が担っていきたい。